FEATURE

2021.07.02

【移住コラム】中之条ノンフィクション #3 ~移住の向き・不向き~

【中之条ノンフィクション】
2020年11月に群馬県の中之条町に移住したRATEHIGHERライター・谷本が送る実体験記。ウソ、大袈裟無しのノンフィクションでお届けします。

今回で第三回目を迎えることができた中之条ノンフィクション。現在は月1回更新になっているけれど本当はもっと頻繁にアップしたいんです。筆がもっと進めばな…、と思っている訳ですがなかなか地に足がつかずあれやこれやでただ時間が過ぎていくばかり。第一回目では移住成功!と謳ってみたものの、ここへきて本当に成功してる??と自問自答を始める始末。いやはや、こんなに自分の環境適応能力が低いとは。とほほ…。

#3のトップバナーにもなっている四万湖。奥四万湖まで行かずともここで四万ブルーを眺めることができる。
実は今回の原稿はここで書いています!こんなところで仕事ができるのも移住の魅力のひとつです

もしかしたら覚悟が薄かったのか?タイミング間違えたか??もしかしてキャパオーバー???と、色々考えてしまっているときにあるネットの記事を発見。アリババ元CEO、ジャック・マーの精華大学卒業式でのスピーチだ。

「心配することが正常で、しないことが異常。私は30年間ずっと心配してきました。全力で頑張っていないのではないか、災難を見極められなかったのではないか(一部抜粋)」

かのジャック・マーがこう言ってるんだから自分の心配事は正常なんだと理解。さて、元気が出てきました。

前回紹介した工事中のカタヤレジデンスが完成!こんな素敵に!!

冗談っぽく書いたものの、移住には向き・不向きがあるのではと私は感じています。私が移住に向いているのかどうかは近い将来にわかると思いますが、他人に「移住できるんならやってみなよ!自然が近くにあるしさ!物価は安いし、都会に出ようと思ったらすぐに出れるし!あなたもやってみたらいいじゃん!!」って両腕振ってみんなおいでよ!みたいな感じには絶対になりません。やはりそれ相応の覚悟は必要だし、その覚悟がない状態で移住をやってみたいという人にはかなり時間をかけた準備が必要だと思います。

こんな素敵なところで休めるのなら、さぞかしインスピレーションも働くことでしょう…

そこのところを移住・定住コーディネーターの村上さんにあててみたところ、私の考えは間違ってなかったようです。村上さん、移住はオススメですか?

「立場的にはオススメって言わざるを得ません(笑)が、本当のところはオススメするようなものではありません。昨今の”移住ブーム”と言うのには大きな違和感を覚えます。ブームだから移住しよう、って言うのは本質を間違っていますよね。そもそも移住は一過性のものではありません。やりたいことがあって、そのやりたいことができる環境があるのならば移住は絶対にオススメです」

やはり。私もその違和感からこのコラムを始めたんです。メディアの報じ方に問題があるような気がしてなりません。そこは村上さんも感じているようで、

「メディアはポジティブ、ネガティブ、数字しか発信しません。あとは失敗談。失敗ありきで話を聞いてくるメディアがいるほどです。移住の洗いざらいを報じるメディアは少ないですよ」

ところ変わってこちらはかたやレジデンスの1Fの「BAR 久美子」。
ウイスキー好きの村上さんセレクトのウイスキーが並ぶ。不定期営業なので、あしからず。

あれ、これは私がやっていること間違ってなくない!?村上さんには色々お世話になっているのに、私の自己肯定力までアップしてくれるとは。恐るべし移住コーディネーター。私の話はさておき、ここで村上さんの想いを聞くことができました。

「あらゆる人に”移住”って言う選択肢が増えればいいな、と思っています。だから受け皿の整備が必要なんです。中之条に住みたい、って言ってくれる人が出てきたときに受け皿が無ければその人たちを迎えることができないじゃないですか?だから受け皿の整備が必要なんです。すごくいい仲間になってくれる人がいて、その人が中之条に住みたいって言ってくれている。けど住めない、って言う状況を私は作りたくありません」

BAR久美子の隣には地元民の集いの場にもなっている「おこわカフェ おてのくぼ」が入居。前の物件が満期を迎えたのでかたやに入居した定食屋。
地元から大切にされていたお店はこのような形で装い新しくできることも、
田舎ならではのサイクルかもしれない。ちなみに味は文句なしに美味し!!

「その逆もあります。私は移住希望者を案内するときにわざと自分の車で案内するんです。一日中、町を周るとその人の性格がある程度わかるんですよ。案内中に自分が嫌な思いをした人を移住させることはできません。何故かと言うと、自分が大切にしている地域の人たちに自分と同じような嫌な思いはして欲しくないじゃないですか。だから全てにおいて優しい人は移住コーディネーターには向いていないと思いますよ(笑)」

村上さんが中之条町民、また中之条に移住した人たちから慕われる理由がよーーーくわかりました。鶴瓶さんからも「久美子、ようやったな!」って褒められてましたしね(6/21 NHK放映の鶴瓶の家族に乾杯参照)

村上さんには最後にもう一回お付き合いしてもらいます。次回は過疎地域の魅力と村上さんが描くこれからの中之条町についてです。お楽しみに!

Writer Profile

谷本春幸

Writer Profile

谷本春幸

PR / ライター / スパゲストハウスルルドリーダー・広報

EDIFICE、417 EDIFICE、JOURNAL STANDARD、WISMなどのプレスを経て独立。 フリーランスでライターを経たのち、群馬県・四万温泉の宿「スパゲストハウス ルルド」のリーダー兼広報に。現在は群馬に拠点を移し、フリーランスライターとの二足の草鞋で活動中。 INSTAGRAM:@haruyukitanimoto Twitter:@haruyukitanimo1